ぼたん

-働く女はつらいのだ-

 ぼたんはいつも明るいから、あんまり気にしてなかったけど、よくよく思い返してみると、この人、めだたないところで苦労人である。
 幽助の助手役として、螢子ちゃんと一緒に魔回虫に毒された人間たちにおっかけまわされるし、いつも幽助やコエンマさまに心配をかけさせられるし、本棚の下じきになるし、後輩の恋愛問題の面倒までみてるし……ああ、大変だな。ああ見えてもキャリアウーマンなんだもんな(笑)。
 部下として、もっともコエンマさまに重用されているらしいぼたんだけど、そうメチャクチャ頭がきれるというわけではないし、うっかり者だし、情に流されやすいところがあるし……で特別に有能な人材という感じはしない(失礼!)。
 それでも、普段、少しくらいとぼけてても、あそこまで人に対して誠実で、仕事に対して忠実な人材はむちゃくちゃ貴重だと思うし、いざという時の肝の座り具合と決断力はなかなかのものだから、絶対的に信用できる部下としては、ぼたんは最高の人材なのかもしれない。
 なにより、立場上、気の滅入ることが多いコエンマさまには、ああいう明るくて気立てのいい子は、精神衛生的にも必要なんだろうと思う。


 ぼたんのことを、案外、有能な人なんじゃ……と思ったのは(よく考えてみると、失礼な言い方だな)、幽助が海藤たちに誘拐された時に、飛影ちゃんを動かすために「ここで幽助を助け出してくれたら、もう霊界は一切、あんたに関知しない」と言い切った時だった。
 飛影ちゃんを無罪放免にできる権限が、ぼたんにあるとはとても思えないんだけど、それでも、幽助救出の方が重要、ときっぱりと決断して、迷いもなく飛影ちゃんに交渉した、という、その決断力はえらいもんだと思う(ヤケになってただけかもしれないけど(笑))。
 あと、ぼたんのストーリー上の最大の貢献は、本棚の下じきになりかけた御手洗くんを、身を挺して助けたことかな?
 あんまり深く考えてないってのは、本当だろうな。そういうお気楽さに、深い苦悩が救われちゃったりするってのは……よくあることなのかもしれない。


 ぼたんはもしかしたら、ひっそりとコエンマさまが好きだったりするのかなあ、とか思っていたんだけど、あやめさんとコエンマさまの仲を取り持とうとしたりして、やっぱりどこまで行っても、ただの部下らしいと判明……ちょっと残念。
 やりたくないことでもやらなきゃいけなかったり、危ないめにあったり、本当に大変そうだけど、きっとぼたんはあの仕事が好きで、プライドもってやってるんだろうなって思う(考えてみれば、幽遊の女性キャラで、ちゃんと職業を持ってる人って、ぼたんぐらいなもんなんだよね……)。
 だから、ぼたんはいつも元気に明るく働いてて、いつまでも、コエンマさまの良きサポート役、幽助たちにとっての良き友人であって欲しいと思うんだ。うん。

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