-やさしい風-

 ある意味、幽助よりもずっと自由で無邪気な人。
 幽助って、なんかものすっごい“業”を背負ってる人だと私は思うんだけど、陣にはそれがない。
 なんというか……陣ってのは、見事なまでに影がないキャラクターって感じがするのね。
 裏表がなくって陰影がない(大笑)。とことんポジティブ。こういうキャラクターって、実はめっちゃ貴重かもしれない。


 私はね。陣が求めてる「光」って、『ぼくをさがしに』(シルヴァスタイン作の絵本。原題は『THE MISSING PIECE』)の“ぼく”が探してる“かけら”みたいなもんだと思ってるの。
 『ぼくをさがしに』ってのは、一部分が欠けた円(“ぼく”)が、その欠けた部分を求めて旅をするおはなしなんだけどね。その“ぼく”はいろんな障害にぶつかりながらも、ようやくピッタリのかけらをみつけて、完全な円になることができたのに、いざ完全になってみたら、すごくつまらないことになっちゃって、それで“ぼく”は、かけらをはずして元に戻って、「ぼくはかけらをさがしてる」と歌いながら、再びかけら探しの旅に出ちゃうのね。
 陣もさあ、“光”を求めて旅を続けて、それでもって「これが“光”なんだ!」ってのを手に入れたら、しばらくは喜んで、それで、そのうちつまんなくなっちゃって、「これは“光”じゃなかっただよ」とか言い出して(で、凍矢も「うん、そうだな」とか素直にうなずいちゃったりするんだよ)、また“光”を探しに旅に出ちゃいそうな気がするのね。
 要するに、“光”を探すのが目的じゃなくって、その過程を楽しめれば、それでいいんじゃないかと……(凍矢なんか、その陣にくっついてるのが目的のような気もする(苦笑))。
 なんかねぇ……結局、お題が欲しかっただけで、陣てのは、自由に飛ぶことさえできれば、もう何だっていいような気がするんだよね……(それでも、魔忍を抜けた時はすっごく深刻に“光”を手に入れようときばってたのかもしれないけど)。


 だいたい、陣みたいなのに、よくあんな規律とか規制とかがたくさんありそうな魔忍がつとまったよね(きっと、凍矢あたりがフォローしまくってたのよ)
 かなり窮屈な生活をしてたんだろうけど、それでもああいうふうに育っちゃったってことは、陣てば筋金入りの根明だな(苦笑)。
 でも、あの明るさが私はホントに大好きで……見てるだけでうれしくなるんだよね。初対面の幽助に向かって、自分のワクワクぶりをうれしそうに語っちゃうあたりとか、特に好き。
 陣と一緒にいたいっていう、凍矢の気持ちがよくわかる。
 あの「風」と共にある限り……とっても楽しく生きられそうな気がするから。

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