凍 矢

-風花の如く-

 凍矢ってのは、クールで計算高そうで神経質っぽいけど、実はむちゃくちゃいきあたりばったりでバクチ打ちな性格の人のような気がする。
 そもそも、本当にクールな人なら、わざわざ無理を押して魔忍を抜けて、あんなバクチまがいの行動にでたりはしないだろうと思うわけ。
 そりゃ、凍矢のあの陣に対するあまあまさかげん(大笑)を見ていると、陣にねだられちゃったらなんでもやりそうな気もしないではないけれど(いいんだよ、それで凍矢は幸せなんだから)、陣にひきずられてしかたなく、という以外にも、凍矢が魔忍を抜けなければならない必然性はあったのだろうと思う。凍矢が蔵馬に語った夢は、あきらかに陣の受け売りなんかじゃなくって、凍矢の言葉だと、私は感じたから。
 凍矢は、「光を手に入れる」と蔵馬に言いながら、その先をつっこまれると「わからない」と言う。計画を綿密にたてて、石橋をたたいて確かめても、まだ油断しないような人に見えながら、実は、橋もかかってない大河をその自信もないまま、飛び越えようとしているかのような無謀さかげんだと思う。
 きっと、小さいことにはえらく細かくて理詰めで考えるのに、大きい問題になるとすっごくおおざっぱになるタイプなんだね。
 確かに、きまじめで潔癖で(女性問題には関しては特に(笑))、自分に厳しくて、誰も知らないところで黙々と修行を積んでいるような人だけれど、おカタイばかりではなくって、すっごくやさしくて、いつもみんなを静かに見守ってる人だと思う。  まあ、酎や鈴駒には、少しとっつきにくいところがあるかもしれないけどね(案外、鈴木と話しがあいそうな気がしてるんだけど、どうかな一)。


 幽遊のコミックス最終巻に描きおろしの凍矢のイラストがあって、その凍矢はすごく虚無的な目をしている。あの凍矢を見た時、これは陣のいない凍矢なんだな、って思った。
 陣が心の中にない凍矢ってのは、きっとあんなふうに、暗い目をして、闇の世界をさまよう、さびしい人なんだろうね。
 凍矢って、風花(辞書によれば「晴天なのに、風上から風に吹かれてちらついている雪」のこと)みたいな人だと思う。
 重苦しい灰色の空を落ちていくはずだったのに、風に吹かれて運ばれて、太陽の下を舞うことになった雪……凍矢にぴったりだと思うんだよね。
 凍矢ってつきつめちゃえば、結局は陣しかいらない人。
 いろんな人が好きだし、いろんなことを大切にしてるけれど、いざとなったら、陣以外のものはきっぱりと捨てちゃう人でしょう。
 もちろん、凍矢には凍矢の意地や考えがあって、純粋に強くなりたいって思ってて、そのためにすごくまじめに努力していて、ひとりでは何もできないような情けない人ではないと思う。
 だけど、やっぱり凍矢には陣が必要。凍矢は陣という一番、大事な[光」のそばにいるから、さびしくないし、悲しくないし、つらくない。
 だから、凍矢はすっごい幸せ者だと私は思う。

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