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正しいコーヒーの頼ませ方
「緑茶と紅茶とウーロン茶とコーヒーと牛乳とオレンジジュースがあるんですけど、どれがいいですか?」 「勝手にしろ」 「……勝手にしていいんですか?」 「?」 「本当に勝手にしていいんですね?」 「あっ……ああ」 「では、緑茶と紅茶とウーロン茶とコーヒーと牛乳とオレンジジュースのブレンドに挑戦してみましょう」 「……………………ただのコーヒーにしろ」
「緑茶と紅茶とウーロン茶とコーヒーと牛乳とオレンジジュースがあるんですけど、どれがいいですか?」 「酒はねぇのか?」 「ありませんよ。母さんにみつかるとまずいですから」 「んなこと言って、おふくろさんに絶対にみつからねぇ場所に隠してるんじゃねぇのか?」 「……やっぱり、そう思います?」 「思う思う。だから、ケチケチしねぇでさっさと出せよ」 「では、魔界のマンドラゴラ酒とジギタリス酒とトリカブト酒、それに最新作のトキタダレ酒のどれがいいですか?」 「……………………人間界の普通のコーヒーがいい」
「緑茶と紅茶とウーロン茶とコーヒーと牛乳とオレンジジュースがあるんですけど、どれがいいですか?」 「おれ、コーヒーがいいな。砂糖はちゃんとコーヒーシュガーを使ってくれよ。それに、クリームもつけて。……あっ、クリームは入れないで持ってきてくれよ。おれ、飲む直前に入れるのが好きなんだ」 「……もしかして、静流さん相手でもそういう注文つけてます?」 「んなこと、怖くてできるわけねぇだろ」 「では、雪菜さん相手ては?」 「んなこと、恐れ多くてできるわけねぇだろ」 「では、おれのことは怖くも恐れ多くもないわけですね?」 「……………………たまにはブラックコーヒーもいいもんだよな。うん」